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【〼吟醸RICE ALE】一晩寝ずに麹造り!日本酒造りの技を駆使した、枡で飲むビール
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日本の昔と今とこれからをクラフトビールを通して再発見する「JAPANESE BEER ODYSSEY」。日本文化を縦横無尽に醸す旅の先でどんなクラフトビールと出会うのか…ここJBO GUIDEでは、オトモニオリジナル銘柄のテーマとなった文化をより深く掘り下げてご紹介していきたいと思います。
大好評の枡をテーマ醸造されたビール第二弾!新しい体験を運ぶ〼吟醸ライスエール
日本文化をテーマにビールを醸すJAPANESE BEER ODYSSEY。2023年最初の1本は、ご好評をいただきました「枡で飲むビール」の第2弾をお届けいたします!
第1弾の枡ビールは、枡の木の香りに調和するよう清酒酵母を使用した「〼セッションIPA」。
大阪にあるMARCAさんに醸造をお願いしたこのビールは、枡に注ぐと驚くほど豊かな泡がたつ、軽やかな飲み口と華やかな香りが印象的な1本でした。
【〼セッションIPA】増して益して縁起物!1300年の時を超え、時代とともに変化し続ける枡
枡でビールを楽しむという新しい体験。その驚きと楽しさをさらにバージョンアップして楽しんでいただきたい。
そんな思いの下、今回は日本酒とクラフトビールを醸造するいわて蔵さんと共に「枡で飲むビール」第2段を開発いたしました!
吟醸酒と同じ原料や製法を使用!杜氏(とうじ)の技が光る一本に
最初にお伝えしてしまいますが、今回の「枡で飲むビール」すごいです……!
吟醸酒と同じ原料を使用し、日本酒造りの最高責任者である杜氏(とうじ)の技を駆使。丁寧にじっくりと醸造しており、米の濁りが残る、美しい黄色は柔らかくあまやか。するすると飲みやすいのですが、8%という度数のため、ふわりと酔いが身体中を心地よく包み込みます。
吟醸酒でありビール。ビールであり吟醸酒。お互いのいいところが最高に引き立った1本に仕上がっているのです。
そんなビールの名前は「〼吟醸ライスエール」。日本酒の技術によって生み出された、お米を使ったビールです。
ではそんなこだわりがたっぷりと詰まった「〼吟醸ライスエール」はどのようにして醸造されたのか。「いわて蔵ビール」世嬉の一酒造の四代目佐藤航さん(以下:佐藤さん)にお話をお伺いしました。
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手間暇を惜しまない。丁寧な日本伝統の技
――「〼吟醸ライスエール」のレシピはどのようにして生まれたのでしょうか?
佐藤さん:枡にあうビールということだったので、和を感じる優しい味わいのビールにしようと考えました。そこでウィートエールのようなあまみを米で表現することにしたんです。
吟醸酒の原材料である米、米こうじ、吟醸酒に使用する酵母を使用することで吟醸感を出し、ホップの香りや苦みは控えめにする。そうすることで枡とよく合うビールになりました。
――吟醸酒と同じ原料を使用しているのですね!
佐藤さん:そうです。ちなみに岩手では「岩手県の素材だけで日本酒を造ろう」という動きがあるので、今回も米、米麹、そして酵母とオール岩手県産のものを使って造っています。
米は吟醸酒と同じく精米歩合60%以下のもの(玄米の状態から40%削る)、酵母は発酵力が強く、香りが出やすい吟醸用酵母「ゆうこの想い」を使用しています。
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――醸造も吟醸酒と同じような工程を用いるのでしょうか?
佐藤さん:はい。今回はビールを仕込む4日ほど前から、「〼吟醸ライスエール」に使用する米の処理を行いました。
――4日も前から!日本酒造りのことは全くわからないので、詳しく教えてください。
佐藤さん:日本酒の醸造工程は、まずは精米し、洗米するところから始まります。吟醸酒を造る際、米の洗米があまり長い作業時間だと次のステップである麹づくりに影響が出るため(米の水分量が多すぎると、いい麹ができなくなる)米の吸水率が27%になるように、きちっと時間を計って引き上げます。
洗米が終わったら次は米を蒸し、麹造り。今回はわたしが麹室に入り、一晩かけて寝ずに麹を造りました。
※酵母によるアルコール発酵のためには、米のでんぷんを糖に変える必要がある。麹はでんぷんを糖に変える働きをする。
――一晩眠らずに麹を造った!?一体どういうことですか?
佐藤さん:蒸した米を広げ、麹菌(麹をつくるための糸状菌)をふりかけると、麹菌はだんだんと米の中で繁殖していきます。
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その過程で発熱をするのですが、温度が上がりすぎてしまうと良い麹ができなくなります。なので湿気と温度を調整しながら、うまく麹菌が中心部に入っていくよう手入れ(ほぐして、熱が抜けるようにすること)をしてやる必要があるんですよ。
蒸したお米に麹菌をふりかけてから12時間は放置。そのあとは2時間おきに4回程手入れを行いました。
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――2時間おき……!まるで新生児のお世話のようです。「〼吟醸ライスエール」はものすごく手間暇かかったビールなのですね。麹ができたらどうするのでしょうか?
佐藤さん:麹に水、そして蒸かした米をいれて甘酒状にしたものを造ります。それを別で醸造していたビール(発酵段階のもの)に混ぜ、吟醸用酵母を投入しました。なので「〼吟醸ライスエール」はビール酵母と吟醸用酵母の2種の酵母によって発酵したビールなんですよ。
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――「〼吟醸ライスエール」は、いわて蔵さんの日本酒造りの技があってこそのビールなんですね!気になる味わいはどのようなものなのでしょうか?
佐藤さん:飲み口はとても柔らかいと思います。酵母の香りと米を感じる「日本スタイルのホワイトエール」みたいなイメージですね!米のあまみやコクを感じ飲みやすいと思いますが……正直酔うと思います。
――度数8%ですもんね(笑)これからの季節、ぽかぽか日差しの下でゆっくり飲んだら本当に幸せそうだなと思います!ちなみにオススメペアリングなどはありますか?
佐藤さん:やわらかい味わいなので、お醤油を使うお刺身なんかがオススメです。特に平目などといった白身のお刺身は、お互いの旨味を倍増してくれると思います。
基本日本酒に合うものは、合うと思います!
JBO銘柄第16弾は枡で飲むビール「〼吟醸ライスエール」
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105年の間、日本酒を造り続けてきた世嬉の一酒造。そんな酒造りの技、職人さんの知識と経験があってこそ今回の「〼吟醸ライスエール」は生まれました。
日本酒の丁寧な造りを用いて醸造されたこのビールが飲めるのは、オトモニだけです!
(インタビュー時、いわて蔵さんが「とても造るのが大変だったので、もういいかな…」とおっしゃっていたので、このビールが飲める機会はもう今後ないかもしれません...!)
枡で飲むために生まれた、杜氏(とうじ)の技が光るビール。
ぜひこの機会に味わってみてください。
文 : ルッぱらかなえ(小林加苗)
協力 : 世嬉の一酒造